文 (not小説)
2014-07-23(水)
全体公開
氷の礫が顔に当たった、と錯覚する程の冷たく、刺々しい風。
肌が切れそうに感じて、無意識で襟元を正し頬を守る。
襟だけでは、風は避けられたとはいえ、暖かくなんかなりゃしない。ファー付きの物を着て来れば…と今更後悔する。
景色は暗く、暗く、冷たい。
*
圧倒的でいて優しい光が水をたっぷり含んだ筆で雲にピンクを乗せていく。
なんだかとても奥行きのある紫の空で。それでいて天井にも触れられそうで。
あぁ、空に浮いてみたいなぁ。と
ふとそんなこと思ったんだ。
*
一口含んだ麦茶は、冷蔵庫内で冷やされ過ぎて。歯にしくりと痛みを与えるものだから少し噎せてしまった。そんな所にすかさずクーラーの冷風が首筋を撫でてくる。
ああ、嫌な夏だ。
*
玄関のドアを開け、外に一歩踏み出した。途端に湿気ってじわりと熱を持った夏の大気が僕をぬるく包み込む。
ぶわり。むわり。じわり。そんな擬態語が脳内でちらつく。
ほんの先程までクーラーの恩恵にあやかっていた為か、まだマンションの廊下で日陰だというのにじわじわと汗が噴いてくる。
日陰でこんななんて、日向はどんなに暑い…もとい熱いか。
だらだらとネガティブ思考を進めながらマンションを出る。途端に網膜を刺さんばかりの暴力的な日の光が目に入り込んでくる。虹彩も必死に対抗したが足掻き虚しくしっかり目潰しされた。
目痛い。
目蓋で日光の暴力から目を庇っていると、視覚が遮断されて聴覚と嗅覚が鋭敏になってきた。
聴覚が鋭くなると何が聴こえてくるのか。少し意識を集中させる……うん、蝉の喚きしか聞こえなかった。聴覚は遮断していいな。
次に嗅覚だ、と、息を吸うと夏の匂いが肺に満たされた。じゃあその夏の匂いってなんだとよくよく考えてからもう一度嗅ぐと、焦げたような焦がすような香りを嗅ぎ分けた。どうやら夏の匂いを印象付けていたのはコンクリートを焦がす匂いだったようだ。
嗅覚まで来たところで、潰しを食らった目も目蓋の下で十分な療養を得られたらしいので視神経をもう一度中枢神経に繋ぐ。コンクリートを見つめる形で目を開けた。
「うおっ?!反射?!」
口内で小さく呟く。
日にガンガン照らされているこの道路は黒いというのに日光を反射してまたも僕の網膜を攻撃しようとする。
目潰しはもうたくさんだよ?!
…まあこんなに光に弱いのは普段暗い部屋にしか居ないからか。
……あれ、自分で地雷踏んでね?
…………。
酷い自己嫌悪に陥りながらとぼとぼ歩く。
そろそろ目も夏使用の屋外の光量に慣れたようで周りの景色がやっとカラーで見えてきた。
コンクリートの日向部分と日陰部分のコントラストが異様に目に付く。
ああ、日の光が強いから、境目をくっきりとさせるのか。としてもこの明暗の差は絵画のようで。ここまではっきりと"色が違う"と感じさせられると違和感を覚えるほどだ。
湿気を蓄えて居座る熱気。
圧倒的光量。
鮮やかなる明暗。
(……ああ、そっか)
これが、夏だった。
*
こーやってだらだら風景描写するの楽しい。
例によってiPhoneが重くなってきたのでメモ帳より放出。
登下校中とか家でダラダラしてる時とか思った事を書き留めようと思うんだけど中々難しいね。表現しきれなくて辛い。語彙力欲しい。あと表現力。それと知識。