なの「はかせに食事を与えなかったら死んだ」1
2012-03-04(日)
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×月△日
今日もはかせはわがままばかり言った。
特にひどかったのが夕方の事で、
夕飯の前だと言うのにチョコレイトが食べたいと言うのだ。
どうせお夕飯を残すのだからダメですと言ったのだけれども、聞かずにぐずり続けた。
根負けして「絶対に夕飯を残してはいけませんよ」
と約束してチョコを渡したなら、夕食前に一箱食べてしまった。
それだけならまだしも、結局夕飯も残したのだ。
食べ物を粗末にする事と、約束を破る事は絶対に許されざる事だと思う。
私は人間ではないが、それだけの分別はあるのだ。
その事をはかせに言ってもまるきり馬耳東風の様子であった。
今度の事で私もあまりにむか腹が立ったので、
今後はかせの食事はさめチョコのみとすることとした。
×月□日
昨日書いた通り、今日からはかせの食事をさめチョコだけにした。
その事をはかせに伝えたら、最初は何事か分かっていないようだったが、私が
「これからははかせはさめチョコ以外食べられないのです」
と言ったら伝わったようであった。
これで少しは慌てるかと思ったが、私の予想に反してはかせは喜んでいるようだった。
私が「昨日の罰ですよ」と言っても聞かず、
三食チョコが食べられると言う事で一日喜んでいた。
それどころか
「はかせはチョコが好きだから全然罰になってないんだけど。なの全然意味わからないんだけど」
などと言い私を笑う始末であった。
こんなはずではなかったのだがなぁと思いつつ、
今日のはかせには三食チョコを出した。
×月☆日
昨日に引き続き今日もはかせのご飯はチョコのみとした。
朝から好きなだけチョコが食べられるとあって、はかせは機嫌良くしていた。
唯一夕飯の時に、私の食事(今日はサンマときんぴらごぼうであった)を見て何か言いたげにしていたが、
私が「はかせのごはんはチョコですよ」と言うと黙ってチョコレイトを食べていた。
チョコレイトの量だけは自由にさせているので、沢山食べるのかと思ったら一箱でやめてしまった。
もっと食べるのかと思っていたから、拍子抜けであった。
×月◯日
はかせにチョコだけを与え続けるとした日から、今日で3日が経過した。
昨日は一日静かにしていたはかせだったが、
今日はしきりに「口が痛い」と言った。
口の中を見てみると、いくつも炎症を起こしていた。
所謂口内炎というものであろう。
連日チョコしか食べていない事で、ビタミンが足りていないのだろう。
そのような見当はついたが、敢えてはかせには黙っている事にした。
食事時には「はかせも普通のご飯が食べたいかもしれない!」と言っていたが、黙ってチョコを渡した。
×月▼日
買い物の途中であった相生さんと立ち話をした。
はかせにはチョコをあげた。
×月▽日
久しぶりにはかせが癇癪を起こした。
理由はここ数日の食事の内容についてだ。
夕食の食卓で、
「はかせも阪本とかなのみたいに普通のご飯食べたいんだけど!」
と怒鳴っていたのだ。
私はここが正念場と思い、はかせに対しチョコを食べるように強く言った。
途中から阪本さんもはかせに加勢して、はかせに普通の食事を与えるよう強く迫ってきた。
それでも私はそれはどうしても聞けないと言った。
最後にははかせが私の食事に手を付けようとしたので、押さえつけて叱った。
ろくにものを食べず大声を出して疲れたのか、そのまま私の腕の中で寝てしまった。
阪本さんはまだ何か言いたそうにしていたが、
私が黙って片付けものをしているのを見てどこかへ行ってしまった。
×月◇日
はかせにチョコだけをあげると決めた日から、買い物の頻度が増えた。
冷蔵庫の中身を、わずかな調味料や食材を残して捨ててしまったからだ。
私が学校に行っている間にはかせが勝手に物を食べないようにするためなのだが、
そのせいで買い物が増えてしまったのは盲点であった。
それでもはかせの事を思えばこれくらいなんでもない。
買い物帰りに長野原さんと話ができたのだから、むしろラッキーと考える事にした。
物は考えようである。
はかせにはチョコをあげた。
◎月■日
園芸を始めた。
研究所の表に花の種を植えてみたのだ。
綺麗な花が咲くといいのだが。
◎月★日
最近はかせはよく水を飲む。
あんまり飲むとおねしょしちゃいますよと言っても構わず飲む。
また言う事を聞かないで、と思ったが、どうしても飲みたいらしい。
言う事を聞かないというよりも、最近の
はかせは
私の声が聞こえていないように見える事が多々ある。
◎月*日
今朝は早朝の3時にはかせに起こされて目が覚めた。
はかせが先に目を覚ます事はたまにあるとはいえ、今日は様子がおかしかった。
最近のはかせは喋るのすら億劫がり、と言うよりも要領を得ず、
何事があったのかか聞くのにも一苦労であった。
それでも根気強く何事かと尋ねてみたところ返ってきたのは、
「なんだか足とか指が痛いんだけど」との事であった。
私は「ははぁこれは」と思ったが、どうする事もできないので、諦めてもらう事にした。
それでも何もしないのは酷なので私が手を揉んであげると、
少し落ち着いたようであった。
こんなのは全く治療にならないのだがなぁと思ったが、
はかせが弱々しい声で「なのありがと」と言ってくれたのは存外嬉しかった。