汚染水
2016-11-10(木)
全体公開
福島原発の汚染水について知ることがあったのでメモ。
汚染水に含まれるセシウム等の放射性核種は取り除けるそうです。
で、実際に除去装置も稼働しています。
しかし汚染水を海に流せない理由があります。
トリチウム水です。
水素の原子核は陽子1つで構成されています。
水素の同位体として中性子が1つ加わる重水素、2つ加わる3重水素(トリチウム)があります。
重水素、トリチウムは放射性物質ですが、化学的物性は水素と変わりません。
そしてご存知の通り水の化学式はH2O。
この水を構成する水素は重水素、トリチウムでも構わないわけです。
トリチウムを便宜的にTと表すと、トリチウム水とはHTO、T2Oといったものです。
トリチウム水と言っていますが、化学的にはH2Oと全く変わりません。
汚染水からトリチウム水を取り除くという作業は、水から特定の水を取り出す作業と同じです。
化学的性質は同じなので、化学反応の利用や、ろ過といった作業は無意味です。
一応、質量に差が僅かに存在する(中性子が多い分)ことから、遠心分離で分けられますが、
現在貯まっている汚染水を全て処理するには、大型のプラントと相当な時間、そしてコストがかかります。
現実的ではないんです。
まぁ、トリチウムって自然界でも宇宙線が大気に衝突して発生しているんですけどね。
海洋にもトリチウムは溶けています。(核融合炉の燃料になり得る)
今までも発電所で処理できないトリチウムは世界中の国で海に放出されています。