なんとなく想像フォレストを書いてみる
2012-08-18(土)
全体公開
これはある初夏の日のこと、私はいつものように窓辺で本を読んでいた。
町外れにあるこの森はとても静かで、小鳥のさえずりしか聞こえない。
私は一人森の中にある家に住んでいる。
私は外の世界を知らない。
なぜなら、私の目は見たものを石に変えてしまうから。
本の中の世界にあこがれて生きてきた。
ふと耳を澄ませると、遠くの方からしゃべり声が聞こえてきた。
私が最後に人を見たのは何年も昔のことだった。
その人間はとても怖かった。
気付いたらこの声の主は戸を叩いていた。
私は驚き飲みかけのハーブティーをこぼしてしまう。
私自身、床に散らばってしまった本に躓き転倒した。
その音を聞いた外の少年は戸を開けてしまった。
私は思わずうつむく。
「だ、大丈夫かい?」
少年のつま先が私の視界に入る。
「ダメ、来ないで!」
私は拒絶の反応を示す。
「見てしまうと、石になってしまうの!」
これを聞いた少年は、驚きもせずただ笑い、手を差し出す
「僕だって石になってしまうと思ってたよ、でも世界は案外怯えなくいいんだよ」
私は少年を見た。
そして彼の差し出す手を取った。
母をなくして以来、何年か振りに暖かい手を握った。
その瞬間涙が溢れ出した。
話をすると、彼は郵便のアルバイト中この森に迷い込んでしまったそうだ。
私は彼に帰り道を教えてあげた。
またいつか、遊びに来てくれると嬉しいな。
そんなことを思っていたある日の午後。
またしゃべり声が聞こえてきた。
戸を開けると、少年と、その友達?がいた。