ヘッドフォンアクター2

交差点は当然だけど、大渋滞。もう老若男女は関係ない。
怒号やら赤ん坊の鳴き声で埋まっている。やはり、人間は自己中心的なのかもしれない。
哀れな暴れだす人、狂ったように泣き出す少女、かなわないと知って祈り出す神父を追い抜いて、私一人が行くのは逆方向
「あの丘のむこうへと」
ヘッドフォンから依然声がして、「あと12分だよ」と告げる。
もう、このまま全て消え去ってしまうならもうこの声に従うしか術はないだろう

ざわめき出す悲鳴合唱を涙目になって掠める10秒。私はそれでもあの丘へ向かう。
地球滅亡を疑いたいけど、誰がどう抑えようとしても終わらない人類賛歌。
私は、地球滅亡の正体は何かを見る。絶対。
「駆け抜けろ!もう残り1分だ!!」
この声ももう聞こえないくらいに意識が朦朧とする。ものすごい距離を走ってきたのだ。あたりまえだ。

・・・ただ、めざしていたおかのむこうはすぐめのまえに。

息も絶え絶えたどり着いたんだ。 空を映し出す、壁、モニターの前に。
「あぁ、そうか、私の生きる世界はニセモノだったんだね。」
その向こう白衣の科学者達が「素晴らしい」と手を叩いた
    疑うよ
そこから見る街の風景はまるで実験施設のようだった。
あぁ・・・。そういうことか、この街はなにかの実験施設。
「もう、不必要だ。この街は。」
そう言うと科学者達は片手間に爆弾を投げた。私はこれを呆然と見ることしかできなかった。
「あぁ、箱の中の小さな世界で今までずっと生きてきたんだな」
燃え尽きてく街だったものをただ呆然と見る目の前でヘッドフォンの向こうから
「ごめんね」と声がした瞬間に意識が途切れた

聞きそびれたはずのごめんねのあとの言葉が頭に過ぎる。

「私はその後の君だよ。私は君。君は私だよ、エネ。」

 ヘッドフォンアクター END
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