「みい……。」
 いつものように、梨花は『ないた』。
 目の前には、お菓子の山。けれどそれらは梨花のものではなかった。
 「……みい。」
 欲しかった。
 ちょうど梨花は、なんだか甘いものが食べたい気分だったのだ。
 梨花は持ち主にトコトコと近寄る。
 「分けてくださいなのです、圭一。」
 そう、お菓子の持ち主は圭一だった。と、いうのも、それらは全てレナの手作りなのである。レナもよくやるな、としみじみ思う。
 圭一は困ったような顔になり、頭をかく。
 「わけてやりたいのは山々なんだが、レナと魅音にどれが魅音のか当てろって言われてるし……なあ」
 「みい、でしたらボクも手伝いますよ」
 「本当か?」
 「はいなのです。にぱー☆」
 こうして梨花は圭一のお菓子を分けてもらうことに成功した。
 (それにしても、レナも魅ぃもいじわるなのです……)
レナのお菓子と魅音のお菓子の違いは、慣れてしまえば結構すぐにわかるものなのだが、どうやら圭一はまだ見分けがつかないらしい。きっと魅音達はそれを知っていてこの量のお菓子を食べさせているのである。
 気の毒だと思いながら、クッキーを口に頬張る。見た目では魅音のものみたいだった。
 (……やっぱり、魅ぃのなのです。)
 圭一に言おうか迷う。言わなかったら、圭一は不正解となり、罰ゲームだ。それはそれで面白そうだと思ってしまう。
 レナだったら迷わず圭一に「これ魅ぃちゃんのだよ!!」なんて言って差し出すだろうが……
 (……ボクは、そんなに良い子じゃないのです☆)


 翌日、全て食べ終えた圭一は、魅音が作ったものを当てて見せたが、1つ足りず罰ゲームとなった。
 「みい☆今回の罰ゲームはなんでしょうね、圭一☆」
 嬉しそうに愉しそうに訊く梨花に、なにか察しがついたのか、圭一はわなわなと震え始める。
 「まってくれ魅音!俺は梨花ちゃんに騙された!!!」
 「でもそれって〜、梨花ちゃんのせいじゃなくて、梨花ちゃんに食べてもらっちゃった圭ちゃんのせいじゃなーい?」
 「くっ……!!!」

 その後、圭一に課せられた罰ゲームは、『パンツ一丁でクラスメート全員と握手してくる』だったのでした。みい☆




次へ→



ひぐらしのなく頃にに戻る 読物へ