模倣体(完全版)



この世界は、誰かを模倣して生きている。







彼女とは、幼いころからずっと一緒だった。
兄弟というわけでもないのに、何をするにも後をついて行って、同じことをした。(流石に服なんかはお揃いにはしなかったが)
普通の人からしてみたら相当鬱陶しいと思われるだろうが、彼女は笑って、優しく手を引っ張ってくれた。
思い返してみると、一度も怒ったところを見たことがない。
私の記憶の中の彼女は、太陽のように明るく、宝石のように眩しい、優しい笑顔しか残っていない。
そんな彼女が旅立って1年。















模倣することしかしてこなかった私は、どうしたらいいんだろう。

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