少年とネコ


昔々あるところに、なんでも規則で縛る国がありました。
食べる物や着る物は規則で指定され、お風呂の時間も買い物の時間なんかも!
さらには名前をつけることすら規則で禁止されていました。

そんな国に住む一人の少年がいました。
彼は、規則で「少年S」と呼ばれています。
16歳になったばかりです。
物心ついたころから、両親とは離され、週6日の労働を強いられています。
彼の唯一の楽しみは、休日に図書館で本を読むことです。
(読書時間も規則で1時間までと決められています)
特にいろんな空の写真を載せた写真集がお気に入りで、来るたびにそれを読んでいました。
この国では、空を見ることもできません。
国の規則で、空はシェルターで隠されてしまっていたのです。
「一度でいいから、本物の空を見てみたいなぁ」
写真集を見るたび、彼はそう思うのでした。

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