少年Sが与えられている仕事は、お城の掃除でした。
彼の他に何人か居て、くじで決められた担当場所を掃除します。
(毎月1回くじで担当場所を決めなおします)
今月の担当場所は王様のいる部屋の階でした。
王様はとても綺麗好きなので、この階の掃除は特に気を使います。
少しでも汚れを残すと、規則でお仕置きを受けさせられます。
なので、この階の掃除は誰もが嫌がる場所でした。
少年Sは今月に入って既に8回もお仕置きを、受けていました。
どんなに丁寧に掃除をしても、王様は汚れを見つけてきます。
今日はお仕置きを受けないようにしよう!
そう思って気合を入れる少年Sでした。
書物の上に乗った埃や、王座の装飾の隙間に入ったゴミ、カーペットの抜け毛も残さず取り除きます。
掃除が終わったら、王様のおつきに報告します。
そのあと、おつきが王様に報告して、チェックが入ります。
部屋の隅、廊下に飾られている花瓶の縁、とにかく細かいところまでチェックをします。
少年Sは、少し距離を置いて後ろをついていきます。
ふと、本棚の前で王様が立ち止まりました。
上から4段目の本の前を指でなぞります。
その指にはホコリが付いていました。
「なんだこれは」
王様が鋭い目つきで少年Sを睨みます。
ちゃんと掃除したはずなのに!
「これはいけないな、仕置きが必要だ」
王様がそういうと、おつきの人が少年の腕を掴んで連れて行こうとします。




「おいおい、ちょっとそれは酷いんじゃないか?」



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少年とネコ s.1
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