桜花 ‐ouka‐

目が覚めると、そこは白い部屋だった。電子機器の規則的な音が響いている
消毒薬の匂いが鼻についた。するとココは、病院か何かだろうか

…でも、あれ?



ボクハダレダ…?


思い出せない
僕の名前は?誕生日は、家族は、大切なものは?
本当に、思い出せない。全て、濃い霧がかかったようにぼんやりとして

…この、溢れる涙は誰への涙だ?大切な…大切な君への涙
待って!君は、君は誰なんだ…?

記憶の片隅。一つだけ残った、君の後ろ姿
僕は、君を想って泣いているんだと、それだけは解った
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桜花 ‐ouka‐
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