rainy song #4


「近寄るな」

やっと見つけた彼から出た言葉は、冷たかった。

だけど、こんなことで怯まない私は
話しかける。

「私、中学三年生のときにあなたの歌を聞いて、救われたんです。
あなたの歌は、私の運命を変えてくれました。」

私がそう言うと、彼は眉根を寄せて立ち上がった。

すらりと長い身体が夕日に照らされて眩しい。

「そういうのうぜぇ。てかお前未成年だろ。こんなとこでなにやってんだよ。ガキが来るようなとこじゃねぇよ、この辺は」

そう言う彼もとてもここで歌っていていい大人には見えなかった。

私も彼にここにいていい人間だと思われてないのときっと意味は違うんだろうけど。

「私、この辺で働いてるんです。」

「は?なんで...ガキのくせに」

ガキ呼ばわりされて少し頭にきたのか、私は強い口調で言い返してしまった。

「お金ないからしょうがないんです!そう言う事情があるガキだっているんです、!」

それで優しい言葉をかけてくれるだろうなんて、期待していたら、彼は興味なさそうに「ふーん」と言って、ギターをケースにしまい、階段を上がるとどこかへと姿を消してしまった。

もっと、歌ってほしい。


そうしたら、少しだけ心が楽になって、頑張ろうって思えるから。


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rainy song #4
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