スカート&スカー スカート編


中学3年の春、それが俺の人生の頂点でありどん底であり帰結点だった。
桜舞う、穏やかな春の日。空には小さな綿雲が浮かび、そして静かな風が吹いている。

俺と言う人間をスペクトル分析したら、出てくる成分はその春の景色ばかりだ。

それ以降の、ほの暗い自室に灯るパソコンの液晶とか、ゲームの世界で追体験した人生などは、出てこない。

それは俺の人生ではない。ゲームの中も、引きこもった部屋で過ごす余生も。

なんてったって、俺はあの日、香園ミスキのスカートの中を目撃してしまったから。
それは一種、呪いのようなものだと、最近そう思う。

次へ

スカート&スカー スカート編
やめる