夏色金魚2

「あのっ!」

やっと追いつき、私はあの人に声をかける。

あの人は振り向き、私と思いっきり目があった。

「…誰?」

「私、さっきあなたに逃がしてもらった金魚です!」

私がそう言うと、あの人はーー

「は?あんた頭大丈夫?」

…とだけ言って、私に背を向けてスタスタと歩いていってしまった。

「あぁーっ!待ってくださいよー!!」

そして私はまた、あの人の背中を追いかける。
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夏色金魚2
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