ss マティーニ・スタンダー・ブルース


ライターの口から勢いよく火が噴き出て、円筒状に固められた白い棒に赤々とした火が灯る。

彼がその筒を介して息を吸い込むと、その火は儚げな光を強めながら後退していく。


「お客様、誠に失礼ですが、現在おいくつでしょうか?」

「3本目だよ。」

「いえ、そちらではなく……。」

翳った瞳のその男は、ゆっくりとこちらを見た。
死んだ魚のような目をしていた。

「……今年で13209になるか。」

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