僕たちはもう1つの世界で生きていた Ⅲ
テストの合間の昼食時間、俺は鍵が掛かって立ち入り禁止のはずの屋上にいた。
ドアの鍵は錆びて使い物になっていないことは秘密で、それを知っている一部の人しか来ない。
そのため、この屋上に今いるのは俺1人だけ。
購買で買ったりんごジュースと菓子パン2つを片手に壁に寄りかかる。
健はトイレに行っていた為購買でパンを買うのに時間がかかり、まだ来てない。
1つ目のパンの袋を開けながら目の前に広がる空を見ると、暑苦しい太陽がギラギラと輝いている。
「本当に暑いな」
汗が額から頬へ流れるのを感じる。
ガチャ。
健が来たのかとドアを見ると、そこに現れたのは花飾りの似合う少女だった。
「翼さん、こんにちは!」
はて、こんな少女が校則を破るなんて誰が思っただろうか。
あなたみたいな方はこのような場所に来るべきではありませんよ。
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