「やぁ」

「あの、教室では話せないことがあるの」

昼下がりの屋上でいきなり目の前の少女がこの空間の雰囲気を変えた。

額から頬へ汗が流れる。

「どう、したのかな?」

息が詰まる。

なんだこの緊張感、相手は11才で俺との年の差はえ~と・・・・・・。

「実は・・・・・・」


ガチャ。

次にドアが開いたとき、長いストレートに似合う女子が顔を覗かせた。

その背後には数人の女子がいて、たぶん校内の案内をしているのだろう。

「あら?屋上は立ち入り禁止じゃないのですか?」

彼女は俺と美晴を見ながら言う。

「黙っとけ、教師陣は鍵が掛かっていて入れないと思っているからな」

長月となるべく目を合わせないように意識しながらぶっきらぼうに返答する。

「そうですか」

妙に爽やかな返事と同時にドアが閉められた。

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僕たちはもう1つの世界で生きていた Ⅲ s.1
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