僕たちはもう1つの世界で生きていた Ⅱ


夏休み最終日。

例によって例のごとく課題と睨めっこ、とは言うものの後は読書感想文だけ。

「毎年最終日に残るんだよな~」

時計を見ながら独り言を言う。

タイミング良く時計の数字が1に揃った。

「夏休みもあと1時間無いのか~、来年こそはもっと楽しむぞ」

毎年思っていることなのに何故か改善されない。

シャーペンを握ったところで書き出しがなかなか決まらないが、一度書き始めるとすらすらと進む。

例によって例のごとく邪魔が入るのもこのあたりだろう。

「おにぃ」

ノックをしないで部屋に入ってきたのは4つ年下の妹、まぁ可愛いから許すが。

「何だ~、それとノックしろって言っているだろ」

「う~んとね、課題終わっていないだろうと思って手伝おうかな~って」

あれ? 無視してないか? 人の話聴いて無くないか?

「大丈夫だ、後は読書感想文だけだから」

「じゃぁ誤字探してあげる」

妹よ、ありがた迷惑という言葉を知っているのですか?

「間に合ってます」

「ダメッ、読書感想文は読解力と表現力だけじゃなく漢字も覚えれるのよ」

かくして、妹とともに日付が変わるまで文章を考えました。

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