「…。」
楓は不機嫌だった。

望まぬ田舎の高校に、無理やり入学させられたからだ。
確かに大きな敷地があって、最新の学校だから設備には困らないだろう。

だが、何故わざわざこんなとこまで来なければいけないのかが解せなかった。


「暑い…。」
楓が、学校の敷地の外周を回る壁にそって歩き始めてからもう10分もたつのに、いっこうに入口が見えてこない…。
学校の敷地にしては広すぎる。まるで自衛隊の駐屯地…いや、それ以上だ。

春だというのに、壁の照り返しと直射日光の熱は、真夏の猛暑を思わせた。

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