愛のポケモン廃人記第2話「絶対零度の果てに」
2010-08-09(月)
全体公開
・前回のあらすじ
前回、瞑想ライコウの対策を完璧にし、
隙は無いとも言えるパーティを組んだしゅんたくだった。
その手持ちはまさに完璧、それを体現するかのように2戦目は
6体全てを瀕死にさせることなく勝利を手にした・・・!
しかし彼は弱かったのではない、彼は自分の愛するポケモンで戦うことを貫いたのだ・・・!
そしてしゅんたくは第3戦へと赴くのだった・・・
~to be continued
そしてやってきた第3戦の時。
今まで乗り越えてきた戦いも楽なものは無かったが、
追い詰められた戦いでは無かった・・・。
そう、俺は些か自惚れていたのだ。
しかしそれは相手がポケモンそのものを愛する者であったからで、
決して自らの実力による勝利ではないということに気付いていなかったのだ・・・。
初手に俺が出すのはハッサム、相手はサンダー。
この時点でピンときた、今までの2人とは違う、ガチパだと・・・!
しかし俺に迷いはなかった。すかさずハピナスに交代したのだ。
サンダーを使う側からすれば当然有効打は無い。
それは自分もよく承知している。自分も手持ちに入れているのだから・・・。
確実に完封されるハッサムを引っ込め、ハピナスへ交代する。
相手は10万。成程、熱風である必要性は皆無だからな。
ここで俺の脳裏に確かに走った電撃。
「俺ならハピナスを誰で突破するか?」
その答えを俺は導き出した。
そしてその答えが現実のものにならぬよう、「願った」。
現実は非常である。
この時、俺の予感は的中したのだ。
スイクンという文字、プレシャスボール、そして色違い。
繰り出されたのは零度スイクンだった。
このままではハピナスが突破される。
それはこのパーティの崩壊を意味する。
しかし俺は零度スイクン対策を・・・怠ったのだ。
甘かった。予想はしていたのに、それをしなかった。
俺は悔いた。この時の俺にできることは零度のPP切れを待つ・・・
すなわちプレッシャー持ちのポケモンでPPを削ることだった。
幸い、手持ちにはスイクンとサンダーがいたので2回に1回当たる計算でも
8回を削りきることはできた。
対策をしなかった己の慢心を悔やみつつも、俺はスイクンを繰り出した。
世にも珍しい、スイクン同士の対面であった。
しかしその勝敗は火を見るより明らかだった。
片や一撃必殺持ち、4回中1回でも当てれば倒せる。
片や決定打は無し、どくどくや瞑想波乗りといった時間のかかる攻撃しか無かった。
交代際、予想通り絶対零度が繰り出される。
これを回避したスイクン。
これだけでも俺の安堵は計り知れないものだった。
残り零度のPPは6回、十分に削りきれる範囲だった。
俺は半ば投げやりに瞑想を積んだ。零度を喰らう覚悟はあった。
しかし、ここでも零度は外れた。
確率にして、49%。五分五分の勝負に、俺は打ち勝ったのだ。
いや、打ち勝ったと言うと語弊がある。
そう、まだ戦いは半分を越えたばかりなのだ。
俺がスイクンを生かしておくにはもう一度49%を引かなくてはならない。
このPTにおけるスイクンの役割は重かった。
万が一にも出てこられるとゴウカザルはスイクン以外では止められない。
サンダーの急所にでも文字を入れられるとそのまま負けなのだ。
加えてハピナス。最悪こちらもハピナスを繰り出しPP合戦に持ちこめるが、
相手のハピの技にどくどくがあった場合はこちらの負けだ。
この手持ちにどくどく持ちはスイクンの他にいなかったのだ。
そう、俺はこのスイクンを倒させてはいけなかった。
ここで俺の脳裏にはある一つの文章が思い起こされた。
「あそこの火傷が全てでしたね。」
彼に負けた人の言葉だった。
これはつまり、火傷を引き起こす技があったことを示す。
それも恐らくだが、故意にではなく、偶然にだ。
ここで覚えるポケモンの少ない噴煙はおおよそ想像がつかない。
ならば残された答えは大文字。
ガチ対戦において登場する確率の高いハピナス対策にもなる
ゴウカザルが真っ先に思い浮かんだ。
しかし俺はここで退かなかった───
その半ば投げやりな行動が、奇跡を呼んだ。
奇跡的にも、相手の零度を残す2回も回避しきったのだ。
その間、スイクンは瞑想を合計2回積んでいた。一度は波乗り。
零度を失ったスイクンはもはやただの積みの起点となる置物と化していた。
相手も勿論これ以上の積みを許すわけにもいかない。
繰り出されたのはサンダー、しかしもう遅かった。
瞑想を3積みしたスイクンを落とせるほど火力は無く、
ねむカゴも挟みつつサンダーを突破した。
後はもう雪崩現象となり、ガブリアスの地震を耐え凌ぎ波乗りで仕留め、
そこから後はもう覚えていない。
気付いたころには、俺は勝利を手にしていた。
この正念場での強運が、俺を勝利に導いたのだった。
しかし今回の戦いは今までとはやはり違った。
零度スイクンという強敵、運で今回は突破したが
次回は正攻法で突破する光明を得た。
予選ブロックも突破が見えてきた今、しゅんたくの未来にあるのは
栄光か、それとも・・・!?