ここにある不思議な物語_2(小説)
2016-07-28(木)
全体公開
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彼が振り返ると、街の人々は大波乱を巻き起こしていた、そして彼の後ろへ逃げて行く者達の足跡を目で辿ると、崩壊し始めているビルがあった。
「…行くか。」
彼はそう呟き、人々の流れに逆らい走って行った。
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どうしてこうなるんだろうか、彼はまたしても己に疑問をぶつけ、その疑問は宙を舞った。
「げほっげほっ…突然変な3人が来たと思って居なくなったと思ったら暗くなって…、テロリストか…?。」
彼なりの洞察力と判断力を生かし考察をしつつ、悪戦苦闘しながらもガレキの中から脱出する。
「おーい!誰か居ますかー!、居たら返事をしてくださーーい!。」
返事は無い、ただでさえ暗く崩壊している空間で1人居るのは男の大人でも恐怖を覚える。
そんな時、突如外から光が溢れだし彼は目を眩ませた。
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「そこに誰か居るのか?。」
重いガレキの山を持ち上げて、その大男は僕に問いた。
「あっ、はい!ここです!レスキューの方ですか!。」
こういう時に救助に来てくれるのは大体レスキュー隊の人だ、できる限り大きな声で伝えるのが最善策だとその時の僕は判断した。
「残念だと思うがレスキューじゃあない、ただの人間だ。」
目が慣れてきた時に彼をよく観察した、銀髪の綺麗な髪、鍛えられた肉体、明らかな戦闘者、そして僕は彼の顔を見た時に気づいたのだ。
「お前は_ラムネか_!?。」
僕はこの男の顔の傷を知っている、長年夢か幻か疑い続けてきた疑問が解けた瞬間だった、
全ての熱が引いて、一気に爆発したような鮮明な感覚だった。
「【ライトニック ムネルバ】…現世ではライトニック ムネルバという名前だ、ゆり、お前の名前を聞かせてくれ。」
「【花笠蛾 百合】僕の今回の名前もゆりだ、君は相変わらず美形でムカつくよ。」
「はっ、それは理不尽の極みだな?。」
僕らは初対面のはずなのに、まるで戦友のようにお互いを認めあった、この瞬間僕は弾き出されたように彼の元へ走っていた。
「はは!また会えるなんて、夢か幻か何かなのか!。」
気分が上がり、彼の側で子供のように再開を喜んでいた。
「お前は髪色以外ほとんど前と変わんねぇな。」
「君はむしろよく変わらないね!。」
目の前の惨状を知りながらも、その時の僕は彼に話しかけていた。
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少年は起爆装置を放り投げ、小さな男の子に肩車をして崩れるビルを眺めていた。
「わぁ!凄いよ凄いよ爆発!例の少年、ちゃんと見に行かなくていいの?。」
幼いその身体を支える少年も、目の前の惨状を見て喜んでいた。
「能力の詳細も知らないし、爆発で運が良ければ殺せるだろう、殺せなかったら報酬が払われないだけだ。」
その言葉に後ろから歩いてきた女の子が反応する。
「その辺の雑魚を相手にするほど暇も無いからネぇ、さァ行こうよ、見学なんてしないでも死ぬでしょ。」
少年少女たちはその言葉が終わった一瞬の隙に消え去った、起爆装置を残し__。
続く…