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ここにある不思議な物語(小説)

2016-07-26(火) 全体公開



彼らは元々、妖怪だった。

現代の日本、6月8日、28度。

_前世を信じている者達はどれくらい居るのか?、彼は己に疑問をぶつけた。
はぁ、とため息をつき、本の古臭い匂いに包まれた図書館の空気を吸い込んだ。
「この昔話の本も外れかぁ…、400年くらい前の話なんていくらでも残ってそうなのになぁ。」
愚痴を漏らし、金色の三つ編みを垂らしたこの青年は花笠蛾百合、今年で21歳になる。
彼は生まれながらにして天才少年として周囲にチヤホヤされ、育て上げられたが、そんな彼の頭脳は生まれついての物ではない、”持ち込んだ”頭脳なのだ。
彼は前世の記憶があり、それを21年間ずっと信じ込み、誰にも明かすこと無く過ごしてきた、ネットの掲示板で見た若者たちのふざけた前世の話は全てくだらなく、とても哀れなものしか存在しなかった。
「僕だってもう21なんだし、前世とは違ってまともな日常を送りたい…。」
そう言って、彼は図書館を出た。

午前11時。
半袖日傘サングラスなどの熱中症対策をした都会の人混みを、コートを羽織り冷やかな表情で歩く1人の大男が居た。
「…今日も収穫無しか。」
男の名前はライトニックムネルバ、淡い青色のコートを着、銀色に輝く艶やかな髪、赤い瞳、彫刻のように整った顔の右目には、縦型の傷跡が残っている。
突然鳴り響く轟音に、彼は後ろを振り返った。

彼らの止まった歯車は、動き出す__

続く

星乃 架華流

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