ラムネブルー・サンデー



 日曜日の午後、アスファルトが陽炎のように揺れていた。
 照り返す日差しを避けるように、僕と彼女は商店街のアーケードに入り込む。蝉の声が途切れなく響き、どこかの店先から風鈴の音が重なった。

「ねえ、喫茶ゲムキで夏限定のデザートが出てるんだって。ラムネブルーサンデーっていうんだよ」

 彼女は楽しそうに笑顔をうかべて振り返った。白いブラウスの袖が風に揺れ、額を流れる汗は髪の毛を伝う。その光景に、僕は少しだけ眩しさを覚えた。

「ラムネブルー……サンデー?」
「そうそう。青くて、ビー玉みたいにきれいなんだって」

 小さな期待を胸に、僕らは商店街の端にある古い喫茶店へ向かった。





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