プラテネスの額縁

あの日…ボクは荒廃した学校の空き地の砂を踏み歩いていた。
ヤケに簡素な水色の手紙を貰った、相手の名前は知らない。
内容は特に知らない、見てもいない、ただ相手の顔面を拝んでおこうと思っただけだった。
相手の気持ちなんてどうでもいい、宇宙の真理でも考えてた方が有益だった。
けどこの身体は、結果を出すために必要な時間がかかりすぎて間に合わないのだ。
今回の件も然り、鬱陶しかった。
会話なんてボクにとっては不必要で無益なものだから。

屋上へ忍び足で訪れる、約束の場は埃っぽくて、待ち合わせには向いていないであろう雰囲気で澱んでいた。
そこには黒髪の女が佇んでいたのだ。

黒髪の女はボクに説いた
「ほんと、神なんて居ないのに人間はなんであんなにも神を信仰し、無き偶像へ身を委ねるんだろうね?」
同意見…だった。
「どうして僕にこんな手紙を送ってきたんだい」
まず当然の様な質問を投げ掛けた。
彼女は答えた。
「貴方が100年生きる事の先を知りたそうだったから」
ボクがその返答に疑問をぶつける間に間髪入れず彼女は言った
「亡くなった赤子は何処に行くと思う?…虚無よ、死んでも虚無の世界へ足を降ろし、人々の重責に呑まれ消え行くの」
エキゾチックな目元は風に吹かれ露になる。
「知りたいのでしょう、世界の仕組みを、欲深き探求心を満たしたいのでしょう?」
そう言われ、ボクは綺麗な、触れてはならない箱に手を入れた。

試し投稿です


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