もしも願いがかなうなら、この私を死なせてください~最終話~

家を出たのはよかった。でも、今日は仕事だから、のんびりはしてられない。
しかたがないので、誠吾と一緒に会社に行った。
昼休み、屋上に行って誠吾と話をしていた。
「これからどうしようか…」
そう話をしていた時、先輩に呼ばれて、先輩についていった。
そして、先輩が行ったのは、なぜかトイレだった。
「あの…先輩?なんでトイレに?」
「あたしはまみよ。まだ気づかないの?」
「っ!あんたね、わたしの家めちゃくちゃなんだけど!どうしてくれんのよ!」
そういったとき、まみにいきなり手首をつかまれた。
「!なにするのよ!」
「あなたにはあたしになってもらうの。あたしが、相川凛になるのよ!」
「なにいってるの、そんなことできるわけないじゃない!」
「…ふふっ、あはははっ!できるの、できるのよ!何十年もとじこめられて、やっと出られたの!それなのにまた閉じ込められたらたまらないもの。こんどはあなたがはいるのよ!」
そういわれ、体に入られた。幽霊だから、入るのは簡単なのだ。
「や、やめ…て…」
抵抗することもできずに、体を乗っ取られてしまった。
景色は見えているけれど、自分では何もできない。
しばらく歩いて、不思議な屋敷の前に来た。ここはどこなのか考えている間に、まみは屋敷の中に入っていった。
そして、ある棚の前で立ち止まった。そして、まみは私の体から出ると、こういった。
「あたしはこの屋敷に住んでいたの。母と父と姉の3人で。でも、ある日あたしは死んだ。…姉に突き飛ばされて、階段から落ちて死んだの。死ぬ直前に、姉が上から見下ろしているのが見えたわ。とてもうれしそうに笑いながら、ね。それ以来、あたしは死んだ後も姉を恨み続けたわ。でも、ある日あたしの家族は引っ越してしまったの。そのあと、不思議な男の人が引っ越してきたわ。
その人はあたしが見えた。そして、あたしはその人にこの棚に封じ込められた。でも、4,50年たったある日、でられたの。だから、うれしくて街を飛び回ってたわ。それで、あなたの家に入ったの。そこで、あなたとあなたの家族の写真を見つけたの。それで確信が持てたわ。あなたの母親、その人が、あたしの姉だったのよ!そしてあなたの父親が、あたしを封じ込めたあの男なのよ!あたしは、7年前にも1度出られたの。それで、もしかしたらと思ってたの。だから、あなたの幼馴染を殺したの。乗り移って、飛び降りさせたの!あなたに近づくために。確信が持てたら、あなたの両親を呪ってやろうと思ってたけど、やっぱり変えたの。あたしがあなたになれば、あの2人を直接殺せるでしょ?だからそうするわ。あなたを閉じ込めるのよ!」
そういって、まみは私を閉じ込めようと、体の中に入ってきた。そして、わたしの魂だけを体から取り出して、棚の中に入れた。
「いや!やめてっ!おねがいだからぁっ!」
私は必死に叫んだけど、まみはやめない。私を棚の中に入れ、呪文を唱え始めた。
そうすると、だんだん扉が動かなくなってきて、閉じ込められてしまった。
「出して!お願い、だしてちょうだい!」
いくら叫んでもまみは笑ってこっちを見ているだけだ。そして…
「バイバイ、新しいあたし。もう、永遠に出られないから。」
そういって、笑いながら出て行ってしまった。
「出して…出してよぉ…出して…」
「ねえ、そこのあなた。私を助けてくれない?こんどは、あなたがここに入って…さ」
今でも彼女は自分の代わりを探し続けている。もしもいいというのなら、彼女を助けてみてはどうですか?
何万年と閉じ込められてもいい、というのなら…ね…

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終わり

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