もしも願いがかなうなら、この私を死なせてください。~第3話~
あの日から、7年がたった。わたしは22歳になり、大手企業に就職した。
誠吾が生きていたら、一緒に出勤したのかもしれない、会社に。
この会社は、誠吾が入るといっていた会社だった。
誠吾は頭が悪いから無理だって、みんなが言っていた。
でも、誠吾は絶対入るんだって言い張ってた。何を言われても入るんだって。
でも、いくら頑張っても誠吾は、この会社に入ることはできなくなった。私のせいで。
みんなの前では私は悪くないって思うようにしていた。
でも、一人になると、途端に涙があふれ出た。そして気づいた。
わたしが好きだったのは、先輩じゃなくて誠吾だったんだって。
あの時は気づかなかった。私が怒っていたのは、誠吾とのうわさにじゃない。
告白するって誠吾に言った時、止めてもらえなかったからだ。
それで、振られたことにもいらいらして、誠吾に八つ当たりした。自分が悪いのに。
自分のせいなのに、自分は悪くないって思ってた。自分を守るために。罪悪感に、つぶされないように。
その時、仕事中にもかかわらず、涙が出てきてしまった。
あわててトイレに行った。なんで今更、こんなことを思ったのだろう。
そう思いながら、ふっと顔を上げた。もちろん、目の前には鏡があるのだが、ほかにもあった。
わたしは、それを見て、恐怖で気を失いそうになった。
終わり
もしも願いがかなうなら、この私を死なせてください。~第3話~
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