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「痛てぇ・・・」

どのくらい眠っていたのだろう。

俺は自分が自分の部屋じゃない場所に倒れていることに気が付いた。

「どうしたんだ・・・俺・・・?」

少しずつ意識が戻ってきた俺の目は、ゆっくりと前の景色を映し出し始める。

辺りは薄暗く、何もない。

ただただ広い砂漠が広がっていたのだ。

見渡しても違う景色は全く見られない。

「俺、確か携帯で送られてきたメールを見て・・・そうしたら画面から・・・」

手が出てきて、引きずりこまれたのだ。

俺の身体がはっきりとあの手の冷たさを覚えていた。

「ここは・・・メールに書いてあった『悪魔界』とやらか。確かにそれっぽい嫌な空気が広がってるな」

「ハハハッ、正解だよぉ」

「・・・悪魔のおでましか」

不意の言葉が発せられた方を向くと、異様なシルエットの生物が俺の前に立っていた。

「連続正解。でもさぁ、もう少し驚いてくれないと面白くないなぁ」

「ここは悪魔界なんだろう。悪魔が居て当然じゃないのか」

もっと人間らしいものかと予想していたけど・・・と付け加えておく。

「変な奴だ。普通は急にこんな所に来た時点で驚くんだよ。夢に違いないーって」

「手が出てきた時は驚いたけど、異常な経験なんてこれが初じゃないから」

悪魔はその飛び出た目で俺の首を見つめて、察したらしい。

「俺はグック。真白 黒馬。ついてきな」

「俺の名前知ってるのかよ・・・ところで、何処に行くんだ?見渡す限り砂漠しかないけど」

「上」

グックは俺の腕を掴み、破れた翼で空に舞い上がった。
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