―人間の体には、人間の脳では到底理解できない四次元的な力が秘められているらしい。
例えばトラックにひかれそうになったら、気づけば違う場所にいたり。
自転車のブレーキが効かなくなって、崖から落ちると思ったら別の場所にいたり。
そんなオカルトな話を信じられるほど、俺は追い詰められてるわけじゃないけど、人間ってのは長らく謎が多い。
でも、俺の周りは、何つーことはなく平和で―――何つーことはなく恋して。
何つーことなく人が死んで、何つーことはなく俺が生きてる。どこも謎は無い。
いわゆる普通の人間、いたって普通の・・・俺はそういう人間だった。
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