日は傾きはじめ空は焼けていた。

黒い車から降りてきたのはサングラスをかけた背の高い男と、ちょっと背が低く口髭を生やした男。
私にこんな知り合いはいないし見たこともない。
身なりは普通のスーツだが、逆にズボンのポケットに何が入っているかわからない。
私はこの怪しい二人組を警戒してミズキをかばうように前へ出る。

「何か用ですか?」
「あー、別に危害を加えるわけではない、構えなくていいよ」

昔からIQが高かった分襲われた時のための対処法は心得ている。
実際に実践で使用した試しはないほど安定した生活は送れてきた分、この二人組に警戒する。

「できれば、そちらの方は外して欲しいのですが」

1人になった私を襲う可能性、ミズキを襲う可能性を考える。

「マコト?」ミズキが囁くように言う。
ここでミズキを返すわけにもいかない。
「要件を言ってください」
私は相手から目を逸らさず、敵意を持った声で言う。

相手の出方を伺う。
二人の男は顔を見合わせアイコンタクトをとり、サングラスの男がポケットに手を入れる。

何か出すのか?
拳銃、短刀、スタンガン?

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