ゼンマイが秒針を3度叩いた。

その瞬間に、教室は悲鳴のるつぼになる。


「先生!せんせーい!」

「ガチヌマ! お前なにやってんだ! なにをしたんだ!」

「血、血だ!これは血だ!」

「キャアアアッ!」


ほらみろ

誰も死を想ってなんかいない。


ローマの皇帝よ、これが現実だ。


人間は忘れる。死ぬことを忘れる。


いつ死ぬかもわからない人間は、『死を想え』なんて言葉を残そうなんて思わない。

それはいつも隣に座っているからだ。

隣で嗤っているからだ。

それからいつも目を背けようとして

でもいつだって視界に写りこんでいる。

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デスゲイズ s.2
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