公園につくと、美菜はさっきよりも高いテンションで駆けまわる。
「わぁー、久しぶりだね!!」
「しばらく来てなかったもんな」
そうだ、この公園で、俺たちは付き合い始めたんだっけな。
美菜も同じことを思っていたようで
「私ね、灯也が、あんなに真面目になってくれるなんて、思わなかったよ」
……当時の俺は、それはもう、街を歩くと通行人に恐れられるくらいに荒れていて、ヤンチャな奴だったのだが、何をどう思ったのか美菜に惚れて、美菜に見合う男になろうと改心したのだ。
「……俺もだよ」
俺は極端で、不良でなくなれば優等生と呼ばれる成績になるようになった。
担任に、「お前、東京大学とか興味あるか?」って言われた時は、本当にビビった。
「今でも一言一句間違えずに言えるよ!えーっとね、『絶対幸せにしてやるから、俺と結婚を前提に……』」
「うわああああああっ!?やめろ!やめろ!!!」
そういえばそんなこと言ってたな。
いや、あの時はいっぱいいっぱい過ぎて、よく覚えてないんだけれど。
「なんで?私、すっごい嬉しかったよ」
真っ直ぐにそう言われると、なんだか照れてしまう。
美菜を直視できなくなって、ふいっ、とそっぽを向くと、美菜は「あ、照れてるー」と笑う。
……お見通しかよ、全く。
「ねえ、灯也、私ね」
「灯也のお嫁さんに、なりたいよ」
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君のマフラー s.2
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