「お前は死ななきゃならない。」
男は静かにそう告げた。その顔は、苦手だった。
「そうじゃないと、俺たちは生きていけない。」
俺はこの男が気に入らなかった。
本気を出さないで、いつも自分の本性を見せないで。
「俺はいつも本気だったよ、お前が勘違いしてただけさ。」
頭蓋を割られる振動と、酷く漂う敗北感に、俺は崩れて消えて行く。
嫌だ、まだ死にたくない。
まだ夢を見ていたい。
見て居たい。
見て痛い。
見て
満て
看て
もらいたい
だれかに
あいしてもらいたい
「甘えるな。」
痛い、また、痛い。
「お前はもう、俺には要らない。」
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荒野にて s.2
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