「・・・ごめん、アーサー・・・ごめん。」

「謝らないでくれ・・・解っている。私と君達が違うことぐらい・・・。」

ガタン。

来客用の小さな椅子から立って、アーサーは扉の方へ向かった。
逃げるような足取りで。

「待って!」


シュゥン。


流体パイプが動きを止めた。
ゆっくりと空気の循環をするダクトの音だけが、ほこり臭く、ひんやりジメジメしている物置に、共鳴するが如く響いている。

空冷式のコンバーター兼エンジンが、細かいテンポでアイドリングしている。

「・・・私は・・・一人だ。」


アーサーは、物置の扉にかかった鍵を壊して出て行った。

エリーは痛感した。


アーサーは違うのだ。
自分とは。

人間とは。

誰も、彼を理解することなどできない。

そう、できないのだ。


エリーは、顔も知らないレイズナーを恨んだ。

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