「避難はどれだけ進んでいる!?」

「まだ、ほとんどすすんでません!」

音が止みませんでした。声が止みませんでした。音が止めば声が飛び交い、声が止めば音が轟くばかりでした。

魔導学園第3グラウンドは現在、魔物の大規模な襲撃に遭っている最中です。

地面を潜ってきて来るという、今までにないタイプの襲撃に遭っているため、先生方も焦りを隠せません。

今までの学園内部にまで及ぶ魔物の襲撃は、そもそもここまでの規模ではありませんでした。

大抵の魔物の襲撃のときは、町の警備に当たっている人達がほとんど倒してしまうので学園内部に入ってきたとしても

ほんの数匹だったり、そもそも学園内部に入ってこないときさえもあったのです。

それだけ町の警備が強いと言うことなのですが、今回はその警備網をくぐり抜けて襲撃してきています。

ベレーナサイルでは、警備の強さ故にこのような事態は想定していませんでした。

だから学園内部の特にグラウンドの警備は他より甘かったのです。先生達が焦りを隠せないのは、それが理由だと思います。

「諸君らは決して動揺するな!大丈夫だ、この魔物は我々が必ず倒す!」

先生は私達を安心させようと励ましていますが、その先生の声も上ずっているというか、震えている感じがします。

でも私達は先生達を信じて、先生達に守られながら校舎内へ避難しようとしています。

「気塊(エア・ストーン)!」

近づいてきている魔物を先生が空気の塊をぶつけて遠ざけてくれます。ぶつけられた魔物は苦しんでいるように見えます。

魔物が遠ざかったことで生じた隙を突いて私達は少しずつ移動しています。一気に走ってから校舎内に避難したいですが・・・

「くっ!魔物の数が多すぎる!」

「そっちの援護に回れ!こちら側は何とか食い止める!」

魔物の数が多すぎてそうとはいかなさそうです。本当に大丈夫かなぁ・・・・・・

「まずい!みんな、かわせ!」

教職員の一人が突然叫びました。何だと思って魔物の群れを見ていると、魔物の1体があろうことか魔法を使おうとしているのです!

「魔物が魔法を!?まさか!」

これもベレーナサイルではなかった事例です。教職員の方々は大いに慌てていました。しかし先生が声を響かせ、

「とにかくこちらに飛んでくる!生徒の諸君はただちに回避行動を!」

しかし、時すでに遅し。魔物は私達が回避行動をとる前に魔物は魔法をこちら側に向かって撃ってきました。

見た限り、炎魔法か爆発系の魔法のようです。そんなものをぶつけられたらひとたまりもありません。

何とかしてみんな回避しようとしますがすぐ近くにあたり、その衝撃でみんな吹き飛ばされてしまいました。

さらに悪いことに、当たり所が悪かったせいで私だけがみんなとは別方向に飛ばされてしまい、集団と大きく離れてしまいました。


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運命瞬く七つの空 fate:10 s.2
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