キーンコーンカーンコーン…
やっと昼休みだ。僕はチャイムが鳴ると誰よりも早く、教室へ出ていった。
目的地は図書室。人もあまりいないし、一人でいるのに最適な所。
本も返さないといけないし。
ガラガラ…
「あ、こんにちは。」
「…こ、こんにちは。」
ぼそっと返事を返すと、彼女はニコッと笑う。
毎回、図書室にくると委員会の仕事でよく隣のクラスの人気者、新井雪がいる。
…人気者、か。僕もそんな立場になってみたいな。まぁ、無理だな。だって、
「あ、あの、本を返したくて。」
こんなことくらいしか、人とまともに話せないし…
「あ、はい。それじゃ…」
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いのちの栞 s.2
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