――――――――――――千絵
「要請を出す、っと……」
千絵はPCに向かっていた。
画面には、ウィンドウが見える。
たった今、BOSS戦の協力要請をパーティーメンバーに出したところだ。
誰から真っ先に反応が来るだろうか。
いや、きっとアイツだろう。
――――ピピピッ『アベルが、要請に応えました』
―――ああ、やはり。
勇者・アベル。
このゲームで唯一、ソロでレベル100に到達した者であり、今はこのパーティーのリーダー。
時間なんて関係なく、彼はいつでもここにいる。
まるで、このゲーム自体が彼であるかのように。
『ありがとう、アベル』
短いメッセージを打ち込むと、彼はすぐに反応した。
『どういたしまして、我らが白魔術師様のためだからね』
そのコメントを見て、千絵はふっと小さく笑う。
この人が手伝ってくれるなら、遠慮なく戦おうじゃない。
千絵は画面を見据え、もう一度、小さく微笑んだ。
―――――――――――――――――――――――白魔術師・千絵
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