少年は言った。
「そういえば、キミの名前は?ボクはハク。」
「名前?…無いの…。」
少女は悲しそうな顔をする。
「ボクが名前をつけてあげようか?」
「え、いいの!?」
「…鈴っていうのは?声が鈴みたいできれいだから!」
「鈴?…鈴?いいね!私は、鈴!」
「気にいってくれたなら嬉しいよ!…キミが探してたのって名前?」
「…違う。分からない。分からないよ」
「そっかぁ。」
少年と少女は桜の葉の並木道を歩いた。
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ひと夏の物語。 s.2
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