「ムリ、」
「・・・何?」
「・・・・どこへ、いくつもりなの?」

・・・驚いた。
当然、だめに決まっていると一喝されると思っていた。
シサツはいつもそうだった。いつも、ちゃんと俺を叱ってくれた。
それはきっと、俺への恨みとか羨みだったんだろうけど。

「お姉ちゃん?」
「・・・ヤヒトは、黙って聞いていなさい
 ねぇ、どこへいくつもりなの?」

シサツの黒曜石の瞳が俺を刺す。

「・・・シンジュクの、外へ。」
「・・・外、ね。
 漠然としすぎてるわ。」

シサツはあきれたように言った。
ヤヒトちゃんも、・・・少し目を伏せた。
・・・そして、次の俺の言葉に二人は、同じ反応をしめす。

「・・・外では、『本物』の植物がいるんだってさ。」
「!!」
「!!」

二人同時に、俺を見た。
ヤヒトちゃんの反応は予想してたけれど、
正直シサツのは予想外だった。
いつもの通り、『そんなもの』と、一蹴されるものと思っていた。


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愛を、ください。2-2 s.2
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