彼は一人、荒野の、広い“研究所”に住んでいた。
たった一人。
人はいない。
彼は追放されたわけでもなんでもなく、ただそこにいたかったから、そこに“い”た。

そして、十分といえるほどの研究をして、

彼がしりたいことを知り尽くして、

やりたいことをすべてやり、



彼は飽きた。


寂しいという気持ちを覚えた。

悲しいという気持ちを思い出した。

苦しい。一人は寂しい。悲しい。一人は嫌い。


彼は、となりにいつも誰かがいたことを思い出し、

必死にその面影を探し、見つけたのは、写真一枚。

彼は、隣にいつもいた誰かに、いてほしかった。

でも、その彼女は、彼が自分でおいてきてしまった。

黄色の髪をして、その上に大きな、純白のリボンをつけていた、彼女・・・・・。



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