あの子が“消えた”のは、あの噂が出回り始めた1ヵ月後のことだった。
いつもの噂なら、3週間でおわるのに。
あの噂はきえなかった。
“別の世界にいける本がある”
“その本はこの日本のどこかにある”
“別の世界は楽園で、帰りたがる人なんていない”
“その本の名前は、『蒼紅翠(そうこうすい)の書』”
その話は、妙にリアルだった。
なぜか、無視できない。
理由はわからない。
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