僕は体を起こし、周りを見渡した。
テントが消えた。
それどころかマットも、懐中電灯も、昨日残したお茶もなくなっていた。
僕が寝ていたところは昨日初めてここに来たときのように、きれいに整頓されていた。
静まり返った世界で動いているのは僕と時間。
それと彼女。
だけのはずだ。
では彼女がやったのだろうか。
大きな溜息
自分の心臓の動きを感じる。
背伸びをして僕はトイレへ歩き出す。
服が冷たい。
寝汗をかいたようだ。
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s.2
やめる