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十歩ほど歩くと開けた場所に出た。
天井に石筍(せきじゅん)がシャンデリアのように垂れ下がっている。
あなたは暫しの間、その光景に見入っていたが、
やがて湿った空気に混じって、妙な臭気が隅から漂ってくることに気がついた。

あなたは訝しげにランタンの灯をかざす。



不意に何かを踏みつけた。それはパシリと乾いた音を立てて砕け散る。
恐る恐る足元に視線を向けると、人間の死体が転がっていた。
だいぶ前に死んだのか、すでに白骨化している。

荷物などはほとんど残っていないが、そばには粗末な鉄の剣が一振り落ちていた。
もしかしたら、この洞窟には恐ろしい怪物が潜んでいるかもしれない。
あなたは元の持ち主に簡単な祈りを捧げたのち、これを拾い上げて自分の得物とした。



……洞窟はまだ続いている。
この奥にはあなたを呼んでいるなにかがある。そんな気がした。
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習作 s.1
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