●優しい母

僕はいじめっこに悩まされていた。
毎日殴られ、泣かされ、ある時は大切な教科書等を破かれたりもしたことがある。
最近は雪が降り始め、顔面を雪山に押し付けられたりもした。
しかし、今年の秋ごろから母は僕がいじめられているのに気が付いたのだろう。
しつこい位に優しくなった。
しかし、僕はいじめられていたストレスでそれがうっとうしく感じていた。
母が僕を慰めようとする度に母の顔を殴り続けた。
八つ当たりでもあった。
ちなみに僕は母と二人暮らし。
いじめられ、母を殴り、またいじめられ、母を殴る。
それが何日も続いた。

ある朝、僕が寝室から出て家をうろうろしていた時、母が居ないのに気付いた。
ある机の上に、一枚のメモと1つの厚めのマフラーが置いてあった。
片面だけボンドで飾り付けされていた。
まず僕はメモを読んだ
「A(←僕の名前)、お母さんだよ。
お母さんね、昨晩物凄く具合が悪くなって、家にお医者さんを呼んでたの。
そのお医者さんはすぐに病院へ行こうって言ってたけど、どうしてもこの手紙とマフラーを置いておきたくて、問診を受けながらここまで書いたの。
そしてここまで書いた時、ストレスが原因だと言われたの。
でも、お母さん、決してあなたのせいだなんて思ってないし、恨んでもいないからね。
そしてこのマフラー、最近外は寒いから、お母さんが毎日こっそりと編んでたの。
飾りも付けたんだよ。
今日学校に行くときもこれをしていってね。
後お母さん、2日入院って言われたの。
だからその2日のご飯は、悪いけど給食と雪で我慢してね。
じゃあ2日後ね。」

僕は泣いた。
まさかマフラーを作ってくれてたなんて……
夢中になっている間に遅刻しそうな時間になっていた。
急いで学校へ行く用意をして、玄関まで来た。
もちろんマフラーを持って。
ちゃんと鍵をしめ、僕は走って学校へ行った。
その時は少し暑かったため、マフラーをしなかった。
学校が終わり、帰り道、またいじめっこに殴られ、マフラーを取られてしまった。
泣きながら家に帰った。
そして次の日、また学校へ行った。
するといじめっこが休みだった。
ラッキーと思った。
下校中、今日帰って来るというのを思い出し、ちゃんと謝ろうと思った。
すると母は包丁を持って料理をしていた。
僕は母に謝り、マフラーを取られたことを言うと、母は、
「いいよ。あ、寒いからスリッパを作ったの。家で履いてね。」
と言った。
僕はそのスリッパを見てみた。
そのスリッパもあのマフラーと同じ飾りがボンドで付けられていた。
「母さん、履いてみるね!!」
そういって僕はスリッパを履いた。
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意味がわかると怖い話 第3弾 s.1
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