今日も、暑い。
こんな季節に父親の転勤が決まった。
引越し業者の人たちが家の前で荷物をトラックに積んでいる。
「お父さん!そろそろ行くよ~。」
私がお父さんに声をかけると、お父さんは情けない声をだして家から出てきた。
二日酔い。引越し前日まで社長さんのお付き合いとか信じらんない。
私たちは、トラックより少し早く今度住むことになった町へと車で移動する。
「あれ。お父さん、私の学校こっちと反対だよ。」
「え?あれ。おかしいな。ナビでもこっちなんだけど・・・・。」
私の通う学校、私立 西園寺学園 は、神無城町というところにあるのだが・・・・。
「そっち、大橋町・・・・。えっ!?ちょっと待って!」
信号無視をしそうになり、お父さんは急ブレーキをかけ私のほうを見た。
「お父さん、手続き間違えてるって・・・・・私が通うのは 市立 西高校! お父さんが転校届けを出したのは、
私立 西園寺学園!」
お父さんは、「あ。」と一言言うと車を発進させた。
どこで間違ったんだろう?とか、私立だぞー。とか言い訳していたけど完全に違う。
そもそも、町から町まで10キロ以上ある。
どう考えても家から通うわけにはいかない。
お父さんは近くのコンビニの駐車場に車をとめた。
「ちょっと待ってろ。電話するから・・・・。」
「もう・・・。だから支社になんかに派遣されるのっ!」
しばらくして、お父さんが車に戻ってきた。
「寮貸してくれるって。よかったな。」
「は?」
「だから、西園寺なんちゃらの学校の方で確認しなかったのも悪いからって、寮の一部屋貸してくれたの。
つまり、羽衣はこれから電車で神無城町まで行って、それからずっと寮暮らし。」
・・・お父さんの馬鹿。
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