前の年の夏はもっと暑くて、紅茶なんて飲む気もしなかった。
それに、前の年の夏はあんまり友達といえる友達がいなかったから大して面白くなかった。
あ、でも前の年にはおばあちゃんの家によく行っていたからそれほど暇ではなかったかもしれない。
そのとき私はこう思っていたんだ。
「「きっと来年もつまらない夏がやってくるのだろう」」
半分ほどは合っていた。「来年の夏」がやってくること。
私はこれまで死ななかったし、特別重い病気にもかからなかった。
しかし、もう半分は多分間違っているだろう「きっと今年は楽しい夏を向かえられるだろう」

…根拠はないけどね。
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名前の無い夏の物語[絵をつけてみた] s.1
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