さて、ようやく暇も貰えたことだし、画面の向こうの読者様へ挨拶と解説を述べるとしよう。
このまま苗字のない主人公を演じるのもいいが、俺にはあいにくちゃんとしたフルネームの持ち合わせがある。


俺の名は浅沼 央佳。案外普通な高校一年生。


前の学校でちょっとした問題を起こして、その一件の風評被害で転校と相成った、少々不幸な男である。
正直言うと思い出したくないので説明は省かせてもらおう。


そして、隣を歩いている少女が先ほど出会ったばかりの同級生、織部涼香。


背は160cm前半くらい。長い黒髪に清楚な顔立ち。正直に言うと美人だ。
そして黒いフレアスカートに、ノースリーブの白いパーカーを胸元まで開いた状態で着ていて、そこから微かにブラが覗いている。水色。なんというか、男の目から見てもこの格好をするには相当な勇者でなければできない。


……なんか変態じみた容姿解説ですまん。


え?何で学生が私服なのかって?


それは、俺がこれから通う学校が私服OKな学校だからだ。
その見返りはまぁまぁ大きく、入学するにはそれ相応の学力が必要であり、俺も編入するのに結構骨を折った。

というのも、ここ周辺にはこの学校以外に公立校がないのが概ねの受験理由だというのはここだけの話だ。



と、そんなことを説明してるあいだにもう学校が見えてきている。
学校の名前は逆月高等学校とかっていったな。ちなみに、逆月の読みかたはさかづき。


学校の面積は結構大きめで、グラウンドや野球場もまるまる含めると東京ドームにちょっと足りないくらいか。



「ほら、あの学校だよ、あそこが今日から君の学校!どうよ、立派でしょ?」

「……いや、あんまり感動ないわ。」

「えー、冷めてるなぁ?普通新しい生活には希望と不安がいー感じにミックスされて生まれる感動がつきものでしょ?」

「なんだその持論……今のご時世、パソコンで学校までの道をバーチャルでたどれるんだぜ?もう2,3度行ったわ。」



まぁ、やっぱり実際と写真では違うが。
それでもやっぱり感動は半分以下に激減するもんだ。



「もう、ちょっとはびっくりするかなって思ったのに……。」

「悪かったな、驚くことには免疫あるんだわ。」


こいつは人を驚かすことが生きがいのようだな。驚かなかっただけでめっちゃしょげたぞ。

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シニカルナイト・ダークネス show,01 s.1
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