駅のすぐ目の前の建物、そこの3階にゲーセンはある。

この建物は大きな複合施設みたいなもので、4階は映画館になっているし、1・2階でショッピングも可能だ。

それ故テスト帰りの学生が集まる場所でもある。


店内は手前の方にクレーンゲームなどが、奥にはコインゲームと本格的なゲームセンターだ。

いつものように良品が無いかと台の間を通る。

「なぁ、これなんか取れそうじゃない?」

大きな熊のぬいぐるみが少し傾いているのに指さしながら健が言う。

「それ欲しいのか?」

「いや、お前の妹に」

「いらね~だろ、たぶん。辞書とかの方が喜ぶかも・・・・・・」

妹を冷静に分析してから言った。

「辞書貰って嬉しいなんて変わっているな」

「例えだよ、学習用品なら何でも喜ぶから」

適当に言ったつもりだが、考えてみればその通りかもしれない。

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僕たちはもう1つの世界で生きていた Ⅳ s.1
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