「……うごいて……お願い……。」
私は、ゆっくりと体を持ち上げる。手はガクガク震えるし視界もくらむ。
よたよたと、骸の散らばる街道の脇に腰を据える。
身体中が痛くて、もうこれ以上は駄目だ。
私はうめき声を漏らしながら、力なく針葉樹にもたれかかった。
雷が森に落ちる。
馬の甲高い鳴き声がすぐ近くで聞こえ、粗暴な帝国の武人達の汚い息遣いが胸の内にこだまする。
押しつけられた快楽の味が、喉の奥でぶり返す。
つぶてを握りしめた右手を、渾身の力で振ったが
石ころは数メートル先の水たまりに落ちた。
「……く……そ……。」
ずるずると、何かが体から漏れ出ていく感触が腹の底に響くと共に、落ちてくる雨粒は身を裂くように冷たく、体中の熱を奪って行く。
息が荒くなる。
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RAIMU s.1
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