鉄の床を踏み鳴らしながら、エリーは白衣に袖を通した。
キャミソールの上に白衣というのはいささか衛生的ではないが、今は服を着ている暇もない。
「エリーさん!こちらです!」
「はっ・・・はい!」
トウハチが珍しく焦った表情で急かしてくる・・・
それだけ状況は一刻を争うのだ。
「リーは・・・?無事ですか?」
「あの子はなんとか落ちつかせました・・・精神的ショックは相当なものですが・・・。」
「わかりました・・・トウハチさんはリーちゃんのそばに居てあげてください。」
「すみません・・・肝心な時に力不足で・・・。」
真新しい手術用ゴム手袋に手を通す。
消毒液の匂いが鼻腔の中に広がってくる・・・懐かしい気分と共に、緊急事態の緊張感が胸の奥に戻ってきた。
「よろしく頼みます・・・。」
「・・・Rog・・・!」
ランプに「Operating」の文字が赤く縁取りされて照らされ、いよいよ手術が始まる。
次へ
円卓の機士 第八章 s.1
やめる