エリーは、コンテナから飛び出した。
もう自分の獣性は抑えられない、抑える必要もない。
今はただ、目前に広がる海と空の境界線に、心を震わせるだけだった。
「ここが・・・グリーンランド・・・!」
考えてみれば短い時間だ。たったの1ヶ月。
それでも、エリーは『やっと』を感じていた。
この景色が全てを物語っている。
「そんなに綺麗ですかいね?」
トウハチが突撃艇「天馬」の甲板から問いかける。
ワイヤに足を引っ掛けて、するすると素早く甲板を降りると、そのワイヤを鉄板の穴に引っかけて固定した。
「はい・・・こんなに綺麗だなんて思ってませんでした!」
「そのうち慣れてくれば当たり前の景色になっちまいますがね。」
手際良く天馬の固定作業をするトウハチ、せわしくメカニック達もアジトの中から這い出てきている。
「ちと手伝ってくださいな、話はそのあとで。」
「あ、はい!」
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