「・・・私を・・・撃つと言ったのか?」
アーサーは訊いた。
感情を押し殺して、それこそただの電子音声のような声だ。
シュトツァーは黙るしかなかった。
答えられない。
撃ちたくない・・・でも撃ちたい自分もいる。
アーサーに対しての答えを埋める空白など、何処にも無い。
「・・・撃ちたければ撃つがいい。君の気がそれで済むなら。」
アーサーは大手を広げて、無防備に身体をさらした。
自分の求めているのはそうじゃない。
シュトツァーは、歯がゆい気持ちに包まれた。
アーサーの吸気と排気の間隔が、だんだんと狭まって来る。
「・・・俺は・・・許せない・・・。」
シュトツァーは小さく、だが十分な声で呟いた。
自分の今の気持ちを適切に表せる言葉は、それだけしか浮かんでこない。
「・・・あんたが・・・許せないんだ・・・!」
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